日本語の語彙学習法:七つの方法を比較する

日本語を学んでいくと、誰もが同じ事実に行き当たります。文法には終わりがあるが、語彙には終わりがない、ということです。文法の教材は最後まで終えられますが、単語は終わりません。だからこそ語彙の学習法は、学習計画のなかで最も大きな差を生む決断です — それでいて、ほとんどの人はその決断を意識して下さないまま、最初に手に取った教材のやり方に流されていきます。このガイドでは七つの方法を、それぞれが不得手なことまで含めて正直に比較し、何が実際に記憶に残るかを決める原則、どうしても覚えられない語の扱い方、そして 2,000・6,000・10,000語に届くまでの本当の計算を扱います。

1. 七つの方法を一望する

下の表の「定着率」は抽象的な定着率ではなく、投じた時間あたりの定着率です — 四十分かけて一語を確実に定着させる方法が、二分で半分ほど定着させる方法より自動的に優れているとは言えないからです。ここに挙げた方法はどれも誰かには効きますが、すべての場面に効くものは一つもありません。

方法一語あたりの時間コスト時間あたりの定着率適した段階主な失敗の形
大量の単語リスト非常に低い(5〜10秒)単独では低い最初の接触;授業前の予習;試験直前の詰め込み語ではなくリストの順序を覚えてしまう
フラッシュカード+間隔反復(SRS)中くらい(カード作成に30〜60秒、復習は1枚8秒前後)高いすべての段階;基本エンジンリーチ(覚えられない語)が溜まりデッキが肥大する;語ではなくカードを覚える
文抽出(センテンスマイニング)高い(1項目あたり2〜4分)非常に高いN4以上、実際の素材が読めるようになってからカード作りそのものが趣味になり学習時間を食う
多読による習得一回の遭遇は低いが8〜20回の遭遇が要る序盤は低く、後半は非常に高いN3以上、または1,500語を超えた人理解できる水準を下回ると、ほとんど何も教えてくれない
多聴(聞き流しではない聴解漬け)追加コストがほぼゼロ(移動時間、家事)新出語には弱く、速度には強いすべての段階、仕上げとして聞き取れない音声はインプットではなく雑音
書く・話すなどのアウトプット練習最も高い(実際に使うまで一語あたり数分)産出の力には最も高いすべての段階、少量ずつ訂正がなければ自分の誤りがそのまま固まる
語呂合わせ・キーワード法高い(一つ考え出すのに30〜90秒)その一語に限れば非常に高い難しい語と漢字の読みへの狙い撃ちすべてに使うと、日本語ではなく語呂のほうを思い出すようになる

2. それぞれの方法は本当は何のためのものか

大量の単語リストは、悪評の半分だけを受けるに値します。50語のリストを上から下へ読み流すのは語を覚える方法としては確かにお粗末ですが、語に出会う方法としては優れています。本格的に反復を始める前にN5リストを20分ほど眺めておけば、その後に出てくるカードがすべて初対面ではなく二度目の対面になり、二度目の対面は目に見えて安く済みます。最悪なのは、このリストを学習法のすべてにしてしまうことです。語がいつも同じ順序で並ぶので順序に依存した記憶ができあがり、結局 出発(しゅっぱつ)が 到着(とうちゃく)の次に来たときにしか出てこない、という事態になります。

間隔反復を組み合わせたフラッシュカードは主力エンジンであり、それには理由があります。記憶が薄れかけたまさにその時点に想起の試みを体系的に配置してくれる唯一の方法だからです。記憶が強まるのは、ちょうどそこです。仕組みと間隔の計算については間隔反復のガイドで詳しく扱っています。方法を選ぶうえで大事なのは、この取引条件です。SRSは形と意味の結び付きを大量に、しかも安く記憶へ入れる点では他に並ぶものがなく、その語が文のなかでどう振る舞うかを教える点では相対的に弱い。遠慮 →「控えること、辞退」とだけ書いたカードは、読解問題で 遠慮(えんりょ)を見分けさせてはくれますが、「遠慮なくどうぞ」を自分で作り出せるようにはしてくれません。幅を広げるために使い、深さを掘るためには使わないことです。

文抽出(センテンスマイニング)は深さを担当する方法です。語を掘る代わりに、実際の素材で出会った文のうち、一か所だけ分からず残りは理解できる文を掘り出します。割引(わりびき)のカードを作る代わりに「今日は全品20%割引です」(きょうは ぜんぴん にじゅっパーセント わりびきです)をまるごと保存する、という具合です。この一かたまりのなかに、語と、その語が連れ立つ言葉と、その語調までが一緒に入ってきます。よく残るのは、素の語釈では与えられない想起の手がかりを文が供給するからです。代わりにコストは本当に軽くありません。文を見つけ、読みを確かめ、書き写す時間まで含めれば1項目あたり2〜4分です。センテンスマイニングをやめてしまう人の多くは、何もかもを抽出しようとしてそうなります。

多読による習得は、結局は語彙の大半をこうして身につけることになる方法でありながら、ある水準を越えるまではほとんど役に立ちません。第二言語の読解研究は、偶発的な習得にかなりの回数の遭遇が要るという結果を一貫して示しています — 一語が確実に「知っている」状態になるまで、およそ八回から二十回という数字がよく引かれます。また、辞書なしで楽に読み進めるには本文に出てくる語の約98%を知っている必要があるとされます。100語あたり未知語が二つ程度、という計算です。それを下回ると、読んでいるのではなく解読しているのであって、ほとんど何も残りません。「とにかくたくさん読め」が初級者への助言としては通用せず、N3あたりで優れた助言に変わる本当の理由がこれです。

多聴は過大に売られていると同時に本当に価値のある方法ですが、多くの人が思うのとは別の仕事をします。新しい語を教えてくれることはまれです。代わりに実にうまくやるのは、遅い知識を速い知識へ変えることです。思い出すのに四秒かかる語は会話では使えませんが、その時間を四分の一秒まで縮めてくれるのが、繰り返し聞く経験です。目だけで覚えた語の発音を正してもくれます。日本語ではこれが大きな問題で、一日 や 十分 の読みを何年も取り違えたまま過ごすこともあるからです。聞き取れない音声を流しっぱなしにしてもほぼ効果はなく、聞き取れる音声には大きな効果があります。

アウトプット練習 — 文を書く、日記をつける、話す — は一語あたりのコストが高く、しかも代わりがききません。分かるものと実際に使えるものの落差を表に出してくれる唯一の方法だからです。借りる(かりる)と 貸す(かす)のどちらを使うべきか、とっさに選べないという事実は、フラッシュカードをいくらめくっても分かりません。どちらかを口にしなければならない瞬間に、はじめて分かります。今回覚えた語を使って週に五文書いてみるだけで、こうした穴の大半は表に出ます。

語呂合わせはハンマーではなくメスです。語ごとにイメージを考え出すのは続きませんし、自分の首も絞めます。語呂は結局のところ、いずれ捨てたい想起の段階を一つ増やす行為だからです。ただし十回間違えた語であれば、鮮明で具体的で少し馬鹿げた結び付きを30秒かけて作ることが、使える処方のなかで最も効きます。漢字の読みがもう一つの正当な標的で、とりわけ音を表す部分が予測どおりに働いていて、語呂はその例外だけを引き受ければよい場合がそうです。

3. 実際に定着を左右する原則

方法は表面です。その下にはいくつかの原則があり、原則を守った平凡な方法は、原則を無視した流行の方法に勝ちます。

交ぜ打ちについては、日本語に限った話を足しておく価値があります。この言語が交ぜ打ちの材料を完成品で手渡してくるからです。自動詞・他動詞の対がそれです。開ける(あける)と 開く(あく)、出す(だす)と 出る(でる)、始める(はじめる)と 始まる(はじまる)。別々のかたまりとして勉強すると、互いに溶け合ってしまいます。対を明示的に対比させ、問題文に助詞まで入れて — 「ドアを開ける」と「ドアが開く」のように — 一緒に勉強すれば、互いを強め合います。

4. リーチ:どうしても定着しない語

千語のデッキなら、そのうちのごく一部 — よく言われるのは5%前後 — が復習時間の途方もなく大きな割合を食います。こうした語をリーチ(leech、ヒル)と呼び、たいていのSRSツールは八回ほど間違えると自動で印を付けてくれます。放っておくと高くつきます。リーチが50語、それぞれ十回ずつ余計に復習を求めれば、しなくてよかった復習が500回です。手当ては手早く済みますが、先に診断が要ります。リーチは原因がそれぞれ違うからです。

  1. 干渉 — 最も多い原因。 語が難しいのではなく、似た語とぶつかっているのです。訪ねる(たずねる)と 尋ねる(たずねる)は読みが同じです。貸す と 借りる は反対の意味だと言葉では説明できても、急ぐと選び間違えます。解決は直感に反します。二つを引き離そうとせず、対比を書き添えて一枚のカードにまとめて入れるのです。すでに結び付いたものは切り離せません。ならば意図して、正しく結び付けたほうがましです。
  2. 問題(表面)が悪い場合。 適当 →「ふさわしい」とだけ書いたカードは、永遠に間違え続けます。適当(てきとう)には「いいかげん、雑に」という日常的な意味もあり、脳が間違いだと知っている語釈を拒んでいるからです。意味を一つに釘づけする文で、カードを書き直してください。
  3. 引っ掛ける鉤がない場合。 イメージもなく自分との関わりもない抽象的な語は、くっつける先がありません。語呂合わせが元を取る地点がここであり、教材の例文より自分の仕事・住む町・家族の話で作った例文がよく効く地点もここです。
  4. 本当に価値が低い語である場合。 十五回間違えている理由が、その語に実際には一度も出会わないからだ、ということがあります。消してください。カードを消すのは失敗ではなく、これから先の復習二十回を、本当に出会う語へ振り替える作業です。大事な語なら、読んでいるうちにまた拾ってきます。

この作業には決まった約束の時間を取ってください — 週に15分、復習キューが印を付けたものを見渡し、上の四つの処方のどれかをそれぞれに当てはめる。この仕組み全体で最も利回りの高い15分ですが、やっている人はほとんどいません。

5. 複数の方法を組み合わせた一週間

どの方法も一つでは、幅・深さ・速さ・産出のすべてを賄えません。回る一週間は三つか四つを決まった枠に配置し、机に向かう時点で選択がもう済んでいるようにします。以下は中級学習者を想定した、一日35〜45分ほどの構成です。数字は都合に合わせて調整し、骨組みは保ってください。

曜日何をするか時間
月・水・金フルセッション:復習キューを空にし、新出語を10〜15語追加する。最後の10分は、1ページあたり未知語が2〜5語出る程度の文章を読む40分
火・木復習のみ、新出語なし — キューが雪だるま式に膨らむのを止める仕掛け。ここに、本当に聞き取れるリスニングを20分足す。移動時間しかなければ、その時間に20分+移動時間
土曜日深さのセッション:その週に読んだもの・見たものから文を5〜8個抽出し、今週覚えた語で自分の文を五つ書く45分
日曜日復習、そのあと15分のリーチ点検。残りは休む — 計画には余裕が要り、なければ最初の一日の穴が一か月の穴になる25分

この構成の成否を分けるのは二つです。第一に、新出語を入れない日は手加減ではなく負荷管理です。これから先の復習を生み出すのは新出語ですから、週に二日空けておけば、キューが処理速度より速く育つのを防げます。第二に、すべてを既にある習慣にくくり付けます — 通勤の道、コーヒー、電車。決まった時刻に回るデイリー学習は生き残り、「時間があるときに」やる学習は生き残りません。

6. 正直な計算:2,000・6,000・10,000語までどれくらいか

語彙の目標はたいてい復習コストを外したまま示されるので、実際よりずっと安く見えます。抜けていた残り半分がこれです。一般的な間隔反復のスケジュールでは、新出語一つが確実に身につくまでにおよそ八回から十二回の復習を生み出します。つまり一日に新出語N語を安定して入れると、一日の復習量はNの五倍から十倍あたりで落ち着きます。新出語十語は十語分の仕事ではなく、十語に復習50〜100回を足した仕事です。

目標一日の新出語必要な学習日数安定状態での一日の時間現実的な所要期間
2,000(しっかりした初級、N4あたり)1020025〜35分週6日で9〜12か月
6,000(無理のない中級、N2あたり)1540035〜50分ゼロから積み上げて累計2〜3年
10,000(上級、N1あたり)2050050〜75分累計3〜5年、しかも一日20語を最後まで保てる人はまれ

「学習日数」の欄は算数、「現実的な所要期間」の欄は算数に正直さを足したものです。年365日勉強する人はいませんし、定着率が100%になることもなく、体調を崩したり仕事が立て込んだり休暇に出たりすれば、何週間かはそのまま消えます。完璧に実行したときの数字から15〜25%を差し引くのが普通の経験であって、何かがおかしいという合図ではありません。

目標そのものについても、注釈を二つ付けておきます。第一に、日本語能力試験(JLPT)は試験が改定されて以降、公式の語彙リストを発表していません — 旧「出題基準」は最も低い級におよそ800語、最も高い級におよそ10,000語を示していましたが、いま目にする数字はすべて過去の出題から割り出した推定値です。ですから級と語数の対応は概数として受け取ってください。第二に、「6,000語を知っている」という言い方は、非常に大きな幅を隠しています。分かるレベルの6,000語と、作り出せる6,000語は、まったく別の達成です。計画を立てるときは、逆方向を意図して訓練していない限り、作り出せる語彙は分かる語彙の三分の一から半分程度だと見積もってください。

このサイトの教材も、おおよそその層に合わせてあります。基礎単語モジュールに日常語1,500語、JLPTモジュールに五つの級を合わせて2,904語、JPTモジュールにビジネス・職場の言葉へ重心を置いた5,862語があります。全部で10,000語を少し超えるので、教材を替えずに上の全行程をそのまま歩けます。それぞれのセットがどう分かれているかは学習画面で確かめて、進む道筋を組み立ててください。

7. 自分をだまさずに進み具合を測る

ほぼ全員が使っている指標 — 追加した語数 — は、何も測れていない唯一の指標です。追加は無料で、仕事は保つほうにあります。より良い物差しを四つ挙げます。

何を測るにせよ、毎回同じやり方で測って書き留めてください。自分の進み具合についての記憶は、どちらの方向にもあてになりません。うまくいかない週には何も身についていないと思い込み、うまくいった学習のあとには百語ほど覚えたと思い込みます。三行の記録が、その二つの印象のどちらにも勝ります。想起の訓練そのものは学習画面で回せますし、記録に引っかかったものは復習デッキへ押し戻せば済みます。

8. 一段落で決める選び方

1,000語に届いていないなら、リストと間隔反復に時間を寄せ、孤立した学習に罪悪感を持たないことです — 文脈が割に合うようになる前に、まず幅が要りますし、この段階の多読はまだ元を取ってくれません。おおよそ1,000から3,000語の間では、SRSのエンジンを回し続けながら重心を文と読解のほうへ移し始め、いちばん役立つ語には作り出す方向を足します。3,000語を超えたら比率を逆転させます。読むことと聞くことが主な習得の経路になり、SRSは読むだけでは取りこぼすものを受け止める網へと降格します。語呂合わせというメスと、週一回のリーチ点検は、最初から最後まで変わりません。レベルに関係なく変わらないものが一つあるとすれば、それはスケジュールです — 日曜日の一時間は、六日間の20分に決して勝てません。その20分をどの方法で埋めるとしても同じです。

七つ全部をやろうとせず、二つだけ選んでください。幅を担うエンジンを一つ、深さを担う方法を一つ。エンジンは毎日回し、深さは週に一度、日曜ごとにリーチを点検し、追加した語ではなく熟成した語を数える。一日10〜15語でこれを一年続ければ、2,500語を超えたあたりにいるはずです — 英雄的な数字ではありませんが、日本語の感じ方を変えるには十分な数字です。