JLPT N4語彙の見取り図 — N5の次に増えるもの
JLPT N4は日本語能力試験(JLPT)で二番目にやさしい級であり、N5の次に自然につながる段階です。語彙量はおよそ二倍になり(約800語から約1,500語へ)、感情・意見・時間の表現、そして少し抽象的な概念を担う語が現れはじめます。このガイドでは、そこで何がどう変わるのかを先に見取り図として整理します。
1.「N4」が実際に指すもの
N4は、まったくの初級(N5)と中級の入口(N3)のあいだにあります。N4の水準では、ゆっくり話される基本的な日本語を聞き取り、身近な話題の短い文章を読み、ひらがな・カタカナと漢字300字程度で簡単な文が書けることが目安とされます。試験時間はおよそ2時間で、語彙・文法・読解・聴解が問われます。
2. 新しく入ってくる語彙の分野
N5が「生き延びるための日本語」だったとすれば、N4は「自分の一日を細かく説明する日本語」です。新しく増える語彙は、おおむね次の話題に集まります。
- 感情と意見 — 好き(suki, 「心が引かれる」)、嫌い(kirai, 「受けつけない」)、楽しい(tanoshii, 「心がはずむ」)、心配(shinpai, 「気がかり」)、大事(daiji, 「大切だ」)といった語。
- 時間と頻度 — 時々(tokidoki, 「たまに」)、たいてい(taitei, 「多くの場合」)、すぐ(sugu, 「間をおかず」)、最近(saikin, 「このごろ」)、まだ(mada, 「今も/今のところ〜ない」)。
- 旅行と交通 — 旅行(ryokō, 「よその土地へ出かけること」)、乗る(noru, 「乗り物に身を置く」)、降りる(oriru, 「乗り物から出る」)、切符(kippu, 「乗車券」)、駅(eki, 「列車の発着所」)。
- 学校と仕事 — 試験(shiken, 「学力などを試すもの」)、宿題(shukudai, 「家でする課題」)、仕事(shigoto, 「働いて行うこと」)、会社(kaisha, 「事業を営む組織」)、会議(kaigi, 「集まって話し合う場」)。
- 複合動詞 — 二つの意味が組み合わさった動詞。見つける(mitsukeru, 「探して見出す」)、持っていく(motte iku, 「持って移動する」)、書き直す(kakinaosu, 「書きあらためる」)など。
3. N4の例語60
どの模擬試験にもほぼ必ず現れる高頻度のJLPT N4語60です。声に出して読みながら、どの分野がすでに身についているかを確かめてください。そこが手堅く得点できるところです。
| 日本語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 安心 | あんしん | 心配がなくなり、ほっとすること |
| 意見 | いけん | 考え、思うところ |
| 受ける | うける | 受け取る;(試験を)受験する |
| 運ぶ | はこぶ | 物を別の場所へ移す |
| 遅れる | おくれる | 予定の時刻に間に合わない |
| 覚える | おぼえる | 記憶する |
| かかる | kakaru | (時間・お金が)必要になる |
| 変わる | かわる | 別の状態になる |
| 気持ち | きもち | 心の状態、感情 |
| 急ぐ | いそぐ | 早くしようとする |
| 計画 | けいかく | これから行うことの筋道 |
| 経験 | けいけん | 実際に見聞きし、行ったこと |
| 結婚 | けっこん | 夫婦になること |
| 研究 | けんきゅう | 深く調べて明らかにすること |
| 現在 | げんざい | 今、この時点 |
| 子供 | こども | 年少の人;自分の子 |
| 細かい | こまかい | 一つ一つが小さい;詳しい |
| 込む | こむ | 人や物でいっぱいになる |
| 最後 | さいご | いちばん終わり |
| 最初 | さいしょ | いちばん初め |
| 探す | さがす | 見つけようとして調べる |
| 叱る | しかる | よくない点を強く注意する |
| 失敗 | しっぱい | うまくいかないこと |
| 質問 | しつもん | 分からないことを尋ねること |
| 準備 | じゅんび | 前もって整えておくこと |
| 紹介 | しょうかい | 人や物を引き合わせて伝えること |
| 将来 | しょうらい | これから先 |
| 食事 | しょくじ | 食べること、その食べ物 |
| 知らせる | しらせる | 相手に伝えて分からせる |
| 進む | すすむ | 前へ動く;はかどる |
| 世界 | せかい | 地球上のすべて、その広がり |
| 説明 | せつめい | 分かるように述べること |
| 足りる | たりる | 必要な量に達している |
| 注意 | ちゅうい | 気をつけること;忠告 |
| 続く | つづく | 途切れずに先へ延びる |
| 都合 | つごう | その時の事情、具合 |
| 伝える | つたえる | 相手に届くように言う |
| 努力 | どりょく | 目標に向けて力を尽くすこと |
| 仲 | なか | 人と人との関係 |
| 慣れる | なれる | 繰り返して普通にできるようになる |
| 匂い | におい | 鼻で感じるもの |
| 苦手 | にがて | うまく扱えない、得意でないこと |
| 逃げる | にげる | つかまらないように離れる |
| 残る | のこる | あとにとどまる |
| 働く | はたらく | 仕事をする |
| 引っ越し | ひっこし | 住まいを移すこと |
| 必要 | ひつよう | なくてはならないこと |
| 表 | ひょう | 項目を並べて示した図 |
| 増える | ふえる | 数量が多くなる |
| 減る | へる | 数量が少なくなる |
| 変 | へん | 普通と違う、おかしい |
| 間違える | まちがえる | やりそこなう、取り違える |
| 守る | まもる | 危険から防ぐ;規則に従う |
| 満足 | まんぞく | 十分だと感じること |
| 迎える | むかえる | 来る人を待ち受ける;出迎える |
| 難しい | むずかしい | 理解や実行がたやすくない |
| 役に立つ | やくにたつ | 使って効き目がある |
| 約束 | やくそく | 前もって決めた取り決め |
| 夢 | ゆめ | 眠っている間に見るもの;将来の望み |
| 用意 | ようい | 必要なものを整えておくこと |
4. N5からN4へ進む勉強法
いちばん効果があるのは、二つの級を重ねて進める方法です。
- 最初の4週間はN5の復習にあてます。順序を混ぜたフラッシュカードで9割ほど思い出せる状態を作ってください。
- 5週目からN4の語彙を一日15〜20語ずつ加えます。N5の復習はまだ手放しません。
- 12週目ごろにはN5の復習を切り上げ、N4と簡単な文法練習に全力を向けられます。
- 2週間に一度、N4の語彙模試を通しで解いて進み具合を確かめます。
5. N4でよくある落とし穴
- 似た動詞の取り違え。 受ける(受け取る)と 受け取る(引き渡しを受ける)、始める(何かを始める)と 始まる(何かが始まる)。
- 音読みと訓読み。 N4では、読みが音読みになる二字の漢語が一気に増えます。学習者は字形と読みを一組にして練習しておく必要があります。
- 形の似た漢字。 木(き)と 本(ほん)と 体(からだ)、あるいは 入(はいる)と 人(ひと)。物語をつけて覚える方法が有効です。
6. 質の変化 — N5は物に名前をつけ、N4はその物に起こることを述べる
語数だけを数えると、N4は「リストが長くなっただけのN5」に見えます。ところが実際には四つのことが同時に変わり、その結果、通用する勉強のしかたそのものが変わります。N5のときの方法 — カード一枚に訳語一つ、見て分かるだけの練習 — をそのまま持ち込む学習者が、ここで足踏みします。
- 漢語が基本単位になる。 N5の語彙はかなり多くが仮名書きか漢字一字です。たべる、みず、人、山のように。N4は音読みで読む二字の漢語で埋まっていきます — 説明(せつめい)、経験(けいけん)、準備(じゅんび)、都合(つごう)。救いは、こうした語が組み立て式だという点です。準と備が見慣れてしまえば 準備 はほとんど負担なく手に入り、同じ部品がこの先何年も繰り返し現れます。漢字を字形の丸暗記ではなく部品単位で覚えるやり方が、複利で返りはじめるのがこの級です。
- 指させない語が増える。 犬(いぬ)は犬を指さしながら教えられます。しかし 都合、気持ち(きもち)、場合(ばあい)、遠慮(えんりょ)は指させません。抽象的な語に必要なのは訳語ではなく場面です。今日は都合が悪いです。(きょうは つごうが わるいです) — 予定が合わないことを丁寧に断る言い方です。よくできた一文は、ノートに並べた類義語三つに勝ります。
- 普通体が現れ、語の形が変わる。 N5はほとんどが です/ます の中で完結します。N4は辞書形・ない形・た形・て形を文の内側に入れてくるので、覚えた 行きます が 行く、行かない、行った、行って、行ける、行こう として現れます。単語帳に ます形 しか入っていないと、N4の読解の半分が未知語のように見えます — 実際には知っている語が別の語尾をまとっているだけなのに。活用の側は動詞活用ガイドで早めに固めておいてください。
- 自動詞・他動詞のペアが点を削りはじめる。 N5までは 開ける と 開く が別の二語だと気づかなくても切り抜けられます。N4では両者が互いの誤答選択肢として並び、選び違えると助詞まで連鎖して間違います。下の8章でこれを一つの塊として扱うのは、そうしないと定着しないからです。
7. N4の中心となる動詞
日本語の文で意味の大半を担うのは動詞であり、N4は動詞の在庫がおよそ倍になる級です。次の28語は教科書にも過去問にも日常会話にも絶えず現れます。ここに挙げた辞書形で一つずつ覚え、覚えたその場で て形 と た形 を声に出してください。この習慣だけで、N4の読解の引っかかりはほとんど消えます。
| 日本語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 選ぶ | えらぶ | いくつかの中から取り出す |
| 送る | おくる | 届くようにする;人を見送る |
| 思い出す | おもいだす | 忘れていたことを心に浮かべる |
| 通う | かよう | 決まった場所へ繰り返し行く |
| 比べる | くらべる | 違いを見るために並べて考える |
| 答える | こたえる | 問いに返事をする |
| 誘う | さそう | 一緒にどうかと声をかける |
| 騒ぐ | さわぐ | 大きな音や声を立てる |
| 調べる | しらべる | 分からないことを確かめる |
| 捨てる | すてる | いらない物を手放す |
| 育てる | そだてる | 世話をして大きくする |
| 助ける | たすける | 力を貸す;危険から救う |
| 頼む | たのむ | 願い出る;(料理を)注文する |
| 疲れる | つかれる | 力を使って弱る |
| 包む | つつむ | 物の外側をおおう |
| 届ける | とどける | 相手のところへ持っていく;提出する |
| 習う | ならう | 教わって身につける |
| 眠る | ねむる | 睡眠をとる |
| 払う | はらう | 代金を渡す |
| 拾う | ひろう | 落ちている物を取り上げる |
| 踏む | ふむ | 足で上から押さえる |
| 褒める | ほめる | よい点を言葉で認める |
| 曲がる | まがる | 方向を変える;まっすぐでなくなる |
| 迷う | まよう | 道が分からなくなる;決めかねる |
| 焼く | やく | 火や熱で調理する |
| 呼ぶ | よぶ | 声をかけて来させる;名づける |
| 別れる | わかれる | 一緒にいた人と離れる |
| 笑う | わらう | おかしくて声や表情に出す |
8. 自動詞と他動詞のペア — N4を代表する主題
日本語は同じ出来事に対して、関係する動詞を二つ用意することがよくあります。一つは「誰かがそうする」ほう(他動詞 / たどうし)、もう一つは「そういうことが起こる」ほう(自動詞 / じどうし)です。英語はこの二つを一語で片づけます — the door opened も I opened the door も open です。そのため英語話者の母語には手がかりがなく、意識して覚えるほかありません。母語話者にとっては考えるまでもない区別ですが、ペアの作り方に一貫した規則がない点は誰にとっても負担で、結局は対にして押さえることになります。
| 他動詞(誰かがする) | 読み | 自動詞(そうなる) | 読み | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| 開ける | あける | 開く | あく | 何かを開ける/何かが開く |
| 閉める | しめる | 閉まる | しまる | 何かを閉める/何かが閉まる |
| 始める | はじめる | 始まる | はじまる | 何かを始める/何かが始まる |
| 入れる | いれる | 入る | はいる | 中に入れる/中に入る |
| 出す | だす | 出る | でる | 外へ出す/外へ出る |
| 消す | けす | 消える | きえる | 消す・消灯する/消える・見えなくなる |
| 付ける | つける | 付く | つく | 取り付ける・点ける/付く・点く |
| 落とす | おとす | 落ちる | おちる | 落とす/落ちる |
| 壊す | こわす | 壊れる | こわれる | 壊す/壊れる |
| 直す | なおす | 直る | なおる | 直す/直る |
| 変える | かえる | 変わる | かわる | 変える/変わる |
| 止める | とめる | 止まる | とまる | 止める/止まる |
規則を二つ押さえれば、この表は丸ごと使えるようになります。第一に、助詞は動詞の種類に従います。自動詞は主語を が で、他動詞は目的語を を で示します。ドアが開きました。(ドアが あきました) — ドアのほうが開いたという言い方。田中さんがドアを開けました。(たなかさんが ドアを あけました) — 人が働きかけたという言い方。試験問題が本当に確かめているのはこの助詞であることが多いので、語をばらばらに覚えるのではなく、ペアと助詞をひとまとめにして練習してください。
第二に、て-いる形 は動詞の種類によって意味が変わります。自動詞に付くと結果として残った状態を表します。窓が開いています。(まどが あいています) — 窓が開いた状態にある。他動詞に付くと進行中の動作を表します。窓を開けています。(まどを あけています) — 今まさに開けているところ。そして 〜てある は、誰かが意図して作った状態を表します。窓が開けてあります。(まどが あけてあります) — 開けたままにしてある。この三つを切り分けずにいると、〜ている をすべて進行の意味で読んでしまい、かなりの数の文を静かに読み違えることになります。
9. N4の形容詞と副詞
N5の形容詞は、大きい・暑い・安いのように物理的な性質を述べます。N4の形容詞は判断や印象を述べ、だからこそ意見が言えるようになります。カードを作るときは い/な の別を必ず添えてください。この別が否定形(危なくない と 安全じゃない)、過去形(汚かった と 複雑だった)、名詞を修飾する形(正しい答え と 丁寧な説明)を決めます。
| 日本語 | 読み | 種類 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 危ない | あぶない | い | 危険がある |
| 美しい | うつくしい | い | 見て心を打たれるほどきれいだ |
| 悲しい | かなしい | い | つらく、泣きたい気持ちだ |
| 厳しい | きびしい | い | 手加減がない、容赦がない |
| 汚い | きたない | い | よごれている、乱れている |
| 寂しい | さびしい | い | 心細い、物足りない |
| 素晴らしい | すばらしい | い | とても優れている |
| 正しい | ただしい | い | 誤りがない |
| 深い | ふかい | い | 底や奥までの隔たりが大きい |
| 珍しい | めずらしい | い | めったにない |
| 安全 | あんぜん | な | 危険がない |
| 簡単 | かんたん | な | 手間がかからない、やさしい |
| 危険 | きけん | な | 危ない(より強く、文章向き) |
| 残念 | ざんねん | な | 思いどおりにならず心残りだ |
| 親切 | しんせつ | な | 相手のためを思って接する |
| 丁寧 | ていねい | な | 礼儀正しい;細かいところまで行き届く |
| 特別 | とくべつ | な | ほかとは違う扱いをする |
| 複雑 | ふくざつ | な | 入り組んでいる |
| 真面目 | まじめ | な | 誠実で、いいかげんでない |
| 立派 | りっぱ | な | 堂々としていて申し分ない |
副詞と接続詞はN4でもっとも手薄になりやすい部分であり、同時にもっとも取りやすい得点でもあります。ほとんどが仮名書きで、数も数十しかないからです。いくつかは後ろに打消しを要求する語で、試験はまさにそこを好んで問います。ほとんど食べませんでした。(ほとんど たべませんでした) — 打消しと組んで「わずかしか〜ない」。なかなか来ません。(なかなか きません) — 打消しと組んで「容易には〜ない」。
| 日本語 | 読み | 意味と典型的な使い方 |
|---|---|---|
| 必ず | かならず | 例外なく — 規則や約束に使う |
| きっと | — | きっと — 話し手の確信のある推量 |
| ぜひ | — | どうしても — 勧誘や依頼と組む |
| そろそろ | — | そろそろ(出る・始める・帰る)時が近い |
| なかなか | — | かなり;打消しと組むと「容易には〜ない」 |
| はっきり | — | 明確に — 言う・見える・覚えている |
| ほとんど | — | 大部分;打消しと組むと「わずかしか〜ない」 |
| まず | — | 最初に — 手順の先頭を開く |
| やっと | — | ようやく — 苦労や待った末に |
| しばらく | — | 少しの間、当分 |
| だいたい | — | おおよそ、おおむね |
| 急に | きゅうに | 前触れなく、突然 |
| 特に | とくに | とりわけ、中でも |
| それで | — | そこで — 結果を導く |
| それに | — | そのうえ — 理由を付け加える |
| しかし | — | けれども — 文章向きの改まった語 |
10. 抽象名詞と する動詞
漢語への移行がもっともはっきり見えるのがこの一群で、しかもカード一枚あたりの見返りがもっとも大きい一群でもあります。ここに並ぶ名詞の多くは する を付けるだけで動詞になるからです。相談する、連絡する、予約する、招待する、出席する。名詞を覚えれば動詞はおまけで付いてきます。なお、公表されている級の割り当ては語彙リストごとに少しずつ食い違います — JLPTは2010年の形式改定以降、公式の語彙リストを出していません — ので、これも確定した境界線ではなく「N4のあたりで出会う語」として受け取ってください。
| 日本語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 意味 | いみ | ことばが表す内容 |
| 場合 | ばあい | その時の状況(「その場合は…」) |
| 理由 | りゆう | そうなったわけ |
| 予定 | よてい | すでに決まっている先の計画 |
| 予約 | よやく | 前もって席や部屋を押さえること |
| 用事 | ようじ | しなければならない用件 |
| 相談 | そうだん | 話し合って意見を求めること |
| 連絡 | れんらく | 知らせを取り合うこと |
| 返事 | へんじ | 問いや便りへの答え |
| 招待 | しょうたい | 客として来てもらうこと |
| 出席 | しゅっせき | その場に出ること |
| 練習 | れんしゅう | 繰り返して身につけること |
| 発音 | はつおん | 音声の出し方 |
| 習慣 | しゅうかん | 身についたやり方;風習 |
| 生活 | せいかつ | 日々を送ること |
| 社会 | しゃかい | 人々が作る集まり |
| 文化 | ぶんか | 暮らしの中で育まれた様式 |
| 歴史 | れきし | 過ぎてきた出来事の流れ |
| 事故 | じこ | 思いがけず起こる悪い出来事 |
| 故障 | こしょう | 機械が正しく動かなくなること |
この一群の中にある近い意味の語に目を配ってください。試験問題はまさにその隙間に出ます。予定 はすでに決まっている先の予定(「土曜日は予定があります」)、計画(けいかく)は自分で組み立てたもの(「会社の五か年計画」)、都合 はその時間が自分に合うかどうかです。同じように 用意 と 準備 はどちらも「あらかじめ整える」ことですが、用意 は物を取りそろえる側に、準備 は全体として態勢を整える側に寄ります。日常の文ではどちらでも通ることが多く、だからこそ試験は片方しか収まらない文脈を選んで問うてきます。
11. N4の語彙が生きる文法 — 語が置かれる型
語彙と文法は採点こそ別ですが、学ぶときは一緒です。次に挙げるのは、いま覚えた語の形を作り替えるN4の文型です。新しい動詞を覚えたら、その場で二つ三つの型に通してみてください。
- 可能形(「〜できる」)。 読む → 読める、食べる → 食べられる、する → できる. 漢字が少し読めるようになりました。(かんじが すこし よめるように なりました) — 能力が身についたことを表す言い方。助詞の交替に注意してください。できる対象はふつう を ではなく が で示します。
- 意志形(「〜しよう/〜しようと思う」)。 行く → 行こう、見る → 見よう. 週末は映画を見ようと思っています。(しゅうまつは えいがを みようと おもっています) — これからの心づもりを述べる言い方。
- 条件形 たら と ば。 駅に着いたら電話します。(えきに ついたら でんわします) — ある時点を待って次の行為に移る言い方。説明を読めば分かります。(せつめいを よめば わかります) — 条件と帰結を結ぶ言い方。たら は日常で広く使える柔軟なほう、ば は一般的な条件寄りです。
- 受身形、ここで初めて登場します。 会議で意見を聞かれました。(かいぎで いけんを きかれました) — 動作を受ける側から述べる言い方。同じ形が後に軽い尊敬表現としても使われるので、ここに掛けた時間はN3以上でそのまま返ってきます。
- 使役形(「〜させる」)。 先生は学生に本を読ませました。(せんせいは がくせいに ほんを よませました) — 他人にその行為をさせたことを表す言い方。
- 文の中に入る普通体の節。 N4の読解を解く構造上の鍵です。明日は雨が降ると思います。(あしたは あめが ふると おもいます) — 引用の と で判断を包む。日本語を勉強するのは楽しいです。(にほんごを べんきょうするのは たのしいです) — の で動作を名詞化する。富士山に登ったことがありますか。(ふじさんに のぼったことが ありますか) — た形+ことがある で経験を尋ねる。
- 義務と許可。 明日までに宿題を出さなければなりません。(あしたまでに しゅくだいを ださなければ なりません) — しなければならないことを述べる言い方。ここで写真を撮ってもいいですか。(ここで しゃしんを とっても いいですか) — 許可を求める言い方。
12. N4は漢字を実際どれだけ求めるのか
よく引かれる数字は累計300字前後で、教科書や受験書の多くもこの数字を目標に作られています。この数字の出どころは知っておく価値があります。2010年の試験改定の際に主催者が公式の漢字・語彙リストの公表をやめたため、いま出回っている「N4漢字リスト」はすべて過去問と指導経験からの再構成です。出版社ごとに、端のほうで数十字の食い違いがあります。300字は教育課程ではなく目安として受け取り、試験当日には見慣れない字が数個混じるものと考えておいてください。
数より大事なのは、その漢字で何をさせられるのかです。文字・語彙(もじ・ごい)の区分では、漢字で書かれた語を仮名で読ませ、仮名で示された語をどの漢字で書くかを選ばせます。手書きで漢字を書かせることはありません。つまり試験対策としては筆順の練習は必須ではない — 記憶の助けにはなりますが。N4の範囲は日本の小学校一〜三年で習う字とほぼ重なるので、児童向け教材の配列をそのまま学習順にしても無理がありません。
一字に読みが一つと考えず、複数あるものとして計画してください。上 は 上(「うえ」)で うえ、上がる(あがる)で あ、上手(じょうず)で じょう と読みます。生 は 学生(がくせい)で せい、生きる(いきる)で い、生ビール(なまビール)で なま です。N4段階の実際的な原則はこうです。いま目の前にある熟語に使われている読みを覚え、二つ目・三つ目の読みは読み表を丸暗記するのではなくN4の単語リストを回しながら自然に出会わせること。
13. 週ごとの目標を置いた16週間の計画
4章が重ねて進める原則を述べたのに対し、ここではそれを暦の上に置きます。週6〜8時間ほどと、しっかりしたN5の土台を前提にし、新出語を前半に寄せて最後の一か月を丸ごと定着にあてる組み方です。きつければ復習ではなく速度を落としてください。一日の量を減らして復習をやりきるほうが、多く入れて未処理を積み上げるより常に勝ります。
| 週 | 週あたりの新出語 | 重点 | 確認方法 |
|---|---|---|---|
| 1–2 | 0 | 順序を混ぜても9割以上思い出せるまでN5を再反復 | N5の混合カード100枚を8分以内で |
| 3–6 | 80(一日12語ほど) | 中心動詞(§7)と自他動詞のペア(§8);て・た・ない形 | 新しい動詞で自作の文を毎週10本書く |
| 7–10 | 80(一日12語ほど) | 形容詞・副詞・抽象名詞(§9〜§10);可能形と条件形 | 学習者向けの短いニュース記事を毎週2本読む |
| 11–13 | 40 + 未処理の解消 | 受身形・使役形・普通体の節(§11) | 最初のN4模試、時間を計らずに |
| 14–15 | 0 | 誤答ノートのみ;間違えたものを全部再反復 | 二回目の模試、区分ごとに時間を計る |
| 16 | 維持 | 毎日の聴解、軽い復習、睡眠 | 三回目の模試;試験日までに7割以上を目標に |
計算してみましょう。80 × 8週 + 40 × 3週 ≒ 760語で、N4がN5の上に積む約700語を余裕をもって覆えます。どうしても定着しない語のための余りも入っています。その半分しかこなせないなら、復習の週を削るのではなく24〜28週に延ばしてください。点数が形になるのは14〜16週目です。間隔反復のスケジュールを使うと未処理の量が目に見えるようになり、そこが肝心なところです。
14. 単語リストは半分でしかない — 読むことと組み合わせる
リストは 届ける が「相手のところへ持っていく」ことだと教えてくれます。読むことは、荷物を届けてもらいました が荷物が届いたと述べる言い方だと教えてくれ、試験と実生活で使われるのはこちらです。実践の輪は短くて済みます。学習画面で一日分のセットを勉強し、24時間以内に、そのうち二つ三つの語を自分で選んだのではない文章の中で見つけてください。学習者向けに調整されたニュース、ふりがな付きの漫画、商品の包装、どれでもかまいません。条件はただ一つ、その文を自分で選んでいないことです。
使いやすい目安として三回接触の原則があります。リストで出会い、外で偶然出くわし、自分で文にして使ってはじめて、その語は本当に自分のものになります。多くの学習者は一つ目だけを行い、二つ目を飛ばし、三つ目は試しもしません。級を「終えた」はずなのに二週間で記憶が崩れるのは、そのためです。二つ目でつまずいた語があれば、答えを見て済ませないでください。漢字の形から読みを当て推量して通り過ぎるのではなく、見つけたその文を復習デッキに入れて、語と文脈が一緒に戻ってくるようにします。
その間もN5の層は生かしておいてください。試験は自分の級より下の全体から出題し、N5の語はN4の問題の中で周りを支える骨組みとして現れます。週に一度N5のリストを軽く通すだけで十分です。これをまるごと飛ばすことが、N4で読解の点数が理由もなく低く出るいちばんよくある原因です。
15. N5とN4のあいだで足踏みする理由
N5からN4への区間は、N3へ跳ぶ区間に次いで、静かに離脱する人が多いところです。そして原因は才能や時間の不足ではなく、ほぼ必ず次の六つのどれかです。
- 見て分かるだけの復習。 日本語→意味の方向だけで回すと、勉強した手応えはありますが、やさしいほうの向きしか確かめていません。表記の問題は逆向きに出ます — 仮名で示された語を見て、どの漢字で書くかを選ぶ形です。復習の少なくとも三分の一を、意味や仮名から日本語(漢字表記)を出す向きに反転させれば、語彙量が増えるより先に点数が動きます。
- ます形を普通体に直してみないこと。 行きます の形で保存しておくと、読解の文章の途中で毎回 行った を導き出し直すことになります。辞書形で保存し、丁寧形は必要なときに作り出す。その逆ではありません。
- 漢字を絵として扱うこと。 字形を丸ごと覚えるやり方は最初の100字までは通用しますが、似た字が積み重なると崩れます。部品は数が増えても持ちこたえ、形はそうなりません。
- 試験の一か月前まで聴解をまったくやらないこと。 聴解はN4の得点のおよそ三分の一を占め、一夜漬けの効かない唯一の区分です。知識ではなく処理の速さに左右されるからです。1週目から毎日10分のほうが、試験前の週末の2時間に勝ります。
- 自他動詞のペアを飛ばすこと。 語彙ではなく文法の問題に見えるので後回しにされがちです。実際には両方であり、出題も多く、ペアで覚えれば一週間で片づきます。
- 未処理の復習を抱えたまま新しい語を足し続けること。 進み具合を正直に示す指標は、新しく入れたカードの数ではなく復習の待ち行列です。二週間ずっと伸びているなら、数日は追加を止めて行列を空にしてください — そのほうが級を早く終えられます。N4が本当に安定したら、次はN3のリストとN3の学習日程ガイドです。この二つは、ここまでの内容がすでに自動化されていることを前提にしています。
N5はもう終えましたか。JLPTモジュールを開いてN4に切り替え、Day 1から始めましょう。