日本語のオノマトペ — 擬音語と擬態語、そして教科書が扱いきれない理由

語彙と文法のあいだに横たわる層が日本語にはあります。母語話者が絶え間なく使い、菓子の袋にも天気予報にも医師の問診にも現れるのに、たいていの教科書では巻末近くの半ページの囲みに押し込められてしまう層です。オノマトペ — すなわち擬音語と擬態語のことです。英語話者はこの語を詩の授業で「onomatopoeia」として習うため、漫画の効果音の仲間として整理してしまいがちですが、それはちょうど正反対の引き出しです。日本語ではこの語類が大人の言葉としてまじめな仕事をしており、飛ばしてしまうと聞き取りに穴が残り、話す日本語が平板になります。

1. 三つの下位分類と、それをまとめる名前

全体をまとめる名前がオノマトペで、フランス語の onomatopée から借りた語です。その下で日本語は「何を写し取るか」によって分類を立てますが、この区分は、その語が文法的にどう振る舞うか、そしてどの文字で書かれやすいかまで予告してくれます。

分類読み写し取る対象
擬音語ぎおんご (giongo)物や自然が立てる音 — 英語の onomatopoeia にもっとも近い範囲ザーザー(激しい雨)、ガタガタ(がたつく音)、バタン(戸が閉まる音)
擬声語ぎせいご (giseigo)声 — 動物と人。擬音語の下位分類として扱われることも多いワンワン(犬)、ニャーニャー(猫)、コケコッコー(鶏)、ゲラゲラ(大笑い)
擬態語ぎたいご (gitaigo)状態・様子・質感・感情 — 音がまったくしないもの。英語に対応する語類がないキラキラ(光る様子)、ゆっくり(速度)、もちもち(食感)、イライラ(感情)

擬態語は、外国語として日本語を学ぶ人がもっともつまずく分類です。キラキラは水面に反射する光を表しますが、光は音を立てません。ヘトヘトは疲れきった状態、じっとは動かない様子です。英語にはこの範囲をまとめて受け持つ語類がないので、訳語は sparkling・exhausted・still とばらばらの品詞に散ってしまいます。ドキドキのように内面の感情を報告する語を、さらに擬情語(ぎじょうご)として切り出す論者もいますが、学習者にとっては擬音語・擬態語の二分でじゅうぶんです。専門辞典は数え方の厳しさによって見出し語を1,500語から4,500語ほど収めていますから、全部覚えろという人はどこにもいません — 100語から150語を手になじませれば、日常会話のかなりの部分が覆えます。

2. 英語よりも日本語ではるかに中心にある理由

英語では、オノマトペは有標で遊びのある語域です。大人が頭痛を「throb throb」と表現すれば、冗談を言っているか、子ども相手に話していると受け取られます。日本語にはそうした制約がなく、この一点だけで、この語類がなぜ大きく、なぜはるかに中心に居座っているのかが説明できます。

構造的な理由もあります。英語は移動の様態を動詞そのものに詰め込みます — trudge, stroll, dash, creep, plod。日本語はそうせず、歩く(あるく)のような素の動詞を残したまま、様態をその前に置きます。とぼとぼ歩く、ぶらぶら歩く、こっそり行く。英語が動詞に載せている表現の負荷を、日本語はこの語類に載せているわけです。ここを無視した日本語は、色彩に乏しくなるだけでは済みません。英語なら動詞を選ぶだけで自動的に伝わっていた情報が、そっくり抜け落ちます。

3. 形のパターンと、意味を予告する濁音のルール

これらの語はごく少数の型から作られ、その型自体が意味を担っています。型が見えるようになると、初めて見る語も半分は見当がつきます。ABAB の繰り返しがもっとも生産的な型で — ドキドキ、キラキラ、ワクワク、ペコペコ、サクサク — 繰り返しは繰り返しを意味します。同じことが何度も起こるか、ある状態が続くかです。小さい っは、一回きりの、ぱっと終わる出来事を示します(にっこり、一度の笑み。ぱっと、一瞬で。そっと、慎重な動作ひとつ)。語末の んは響きを添えます(バタン、ドン、ガーン)。語末の りは、なめらかに展開する一回の動作を作ります(ゆっくり、はっきり、しっかり、こっそり、ぐっすり、のんびり) — すでにふつうの副詞にしか見えない擬態語の大群が、この型です。長音は出来事を時間の上に引き伸ばします。ザーザーは降り続く土砂降り、パラパラは散らばって落ちる雨粒です。

なかでも使い出があるのが濁音の対立です。濁点を付けて k を g に、s を z に、t を d に、h を b に変えると、その語はきまって重く、大きく、粗く、あるいは快くないほうへ傾きます。規則性がかなり高いので、清音のほうの相棒を知っていれば、初めて見る濁音語のニュアンスもたいてい言い当てられます。

清音 — 軽い・小さい・快い濁音 — 重い・大きい・粗い
きらきら — 星や水面が細かく光る様子ぎらぎら — 真夏の日差しのような、目を刺す照り
ころころ — 小さいものが軽く転がる様子ごろごろ — 重いものが転がる様子。雷。寝転がって過ごす様子
さらさら — 乾いてなめらかに流れる様子(髪、小川)ざらざら — 手ざわりが粗い様子(砂)
ぱらぱら — まばらに降る、振りかける。本を繰る様子ばらばら — 散り散りになる。ばらけて壊れる
とんとん — 軽く叩く音。物事が順調に運ぶ様子どんどん — 強く叩く音。副詞では「次々に、ますます」

最後の行はよく見ておいてください。落とし穴になります。ドンドン と書けば強く叩く音ですが、どんどん と書いて副詞に使えば「次々に、ますます」の意味になります — どんどん上手になる(どんどん じょうずになる)。同じ文字列に二つの役目があり、区別は文脈がつけます。

4. 文法 — と、する、だ、に

教科書が飛ばす部分であり、文が成り立つかどうかを実際に決める部分です。オノマトペは宙に浮いた音の塊ではなく、四つの枠のどれかに差し込む語で、たいていの語は入る枠が決まっています。

  1. 副詞のまま、または + と。 と はその語を、動詞を修飾する副詞として標示します。繰り返し形では省略できることが多いです。ゆっくり(と)歩く(ゆっくり(と)あるく)、キラキラ(と)光る(キラキラ(と)ひかる)。一回きりの型ではふつう必須です。ドアがバタンと閉まった(ドアが バタンと しまった) — と を落とすと、壊れた文に聞こえます。
  2. + するは「その状態にある」「そうする」という動詞を作ります。どきどきする、イライラする、のんびりする、頭がズキズキする(あたまが ズキズキする)。
  3. + だ/ですは述語にし、+ のは名詞を修飾させます。お腹がペコペコだ、もうヘトヘトです、ふわふわのパンケーキ、もちもちのパン。
  4. + になる/にするは状態の変化を表します。部屋がぐちゃぐちゃになった(へやが ぐちゃぐちゃに なった)、ばらばらになる。

枠は互いに交換できず、間違った枠を選ぶことがここでいちばん多い学習者の誤りです。お腹がペコペコだ は正しく、×お腹がペコペコする は誤りです — さらに厄介なのは、ペコペコする が「へつらって何度も頭を下げる」という別の意味で実在することです。同じように ワクワクする は自然でも ×ワクワクだ とは言いません。手当ては機械的で済みます。この種の語を書き留めるときに、枠ごと書き留めればいいのです。ペコペコではなくペコペコだを、ズキズキではなくズキズキするを保存してください。復習デッキに自作の項目を入れているなら、この習慣ひとつで、今後の誤りはほとんど消えます。

5. 感情と体

ここから始めてください。会話での頻度がもっとも高い項目群で、いくつかは初級教材にも出てきますが、オノマトペという名札は一度も貼られないまま通り過ぎます。

意味と代表的な使い方
ドキドキする心臓が高鳴る — 緊張、恐れ、高揚。面接の前はドキドキした
ワクワクする楽しみで浮き立つ気持ち。ドキドキと違って、つねに肯定的
イライラする苛立って神経が尖った状態 — 渋滞、遅いサイト、長い行列
ペコペコ空腹でたまらない状態。お腹が としか組まない。する を付けると平身低頭の意になる
ヘトヘト体を使ったあと、すっかり消耗した状態
ズキズキする脈打つ痛み — 頭痛、化膿した歯、腫れた関節
びっくりするはっと驚く。学習者が最初に出会う擬態語のひとつ
ぐっすり副詞深く、よく — ほぼ眠ることにしか使わない:ぐっすり寝る
のんびりする急がず気楽に過ごす様子 — 週末にいちばん似合う語
そわそわする落ち着かず、じっとしていられない様子 — 結果を待つとき
にこにこする絶えず穏やかに笑う様子。にっこり(一度の笑み)・にやにや(不快な薄笑い)と比べておきたい

ドキドキ と ワクワク の対は、ひと呼吸置く値打ちがあります。英語ではこの区別がぼやけるからです。ドキドキ は根が心拍なので、恐れ・緊張・ときめきをまとめて覆います。ワクワク は身体感覚を伴わない、純粋に心地よい期待だけを指します。試験結果を待つ学生は ドキドキ、遊園地へ向かう子どもは ワクワク です。取り違えても通じはしますが、別の感情を報告したことになります。

6. 質感、食べ物、料理

日本語の食の語彙は、味よりも食感に寄りかかっています。メニュー、パッケージ、料理番組、レビューはこれらの語で埋め尽くされていて、その多くは他言語の一語には置き換えられません — だからこそ、訳すのではなく、かたまりのまま覚える値打ちがあります。

食感よく組む言い方
サクサク軽く乾いた歯ざわり — 抵抗せずに砕けるサクサクのてんぷら / クッキー
カリカリ硬く乾いた歯ざわり — サクサクよりはっきり硬いベーコンをカリカリに焼く
パリパリ薄くて、曲げるとぱきっと折れる歯ざわりパリパリの海苔(のり)
もちもち弾力があって噛み返してくる — 歯を押し返すもちもちのパン / うどん
ふわふわ軽くやわらかい。タオル・雲・髪にも使うふわふわのパンケーキ
とろとろとろけて、ゆっくり流れるとろとろのチーズ
ネバネバ粘って糸を引く — 納豆(なっとう)とオクラの代表的な食感ネバネバした食べ物
しっとり乾いていない、水分を含んだ — ケーキ、化粧品の文案では肌しっとりしたケーキ
あつあつ火から下ろしたばかりの熱さあつあつのグラタン
ぷりぷりふっくらして弾む歯ざわり — えび、ほたてぷりぷりのえび

食べ物の語は、名詞の前ではたいてい の を取るか(ふわふわのパン)、した を取ります(しっとりしたケーキ)。多くの語は両方使えますが、の のほうが軽く、広告の文案では圧倒的によく見かけます。これらは日本のメニューを埋めるカタカナ外来語と自然に並び立ちますが、そちらは外来語ガイドで扱っています。

7. 動作・様子・天気 — すでに使っている語も含めて

ここが少し意外な箇所です。日本語を半年学んだ人はすでに擬態語を毎日使っているのに、そうとは知らされていません。ゆっくり、ちゃんと、きちんと、しっかり、はっきり、じっと — どれも擬態語なのに、初級教科書はこの語類に触れないまま、ただの「副詞」として教えます。名前を初めて聞いたときにこの分類がやけに縁遠く感じられるのは、そのためです。名札よりずっと先に、構成員のほうを覚えていたわけです。

意味
ゆっくりゆったりと、急がずに。「どうぞごゆっくり」の使い方もゆっくり話してください(ゆっくり はなして ください)
ちゃんと手を抜かず、なすべきとおりに。やや口語的ちゃんと食べた?
きちんと整って乱れがない。ちゃんと より改まり、整然さを強調するきちんと片付ける(きちんと かたづける)
しっかり固く、確かに、抜かりなくしっかり覚える(しっかり おぼえる)
はっきり明瞭に、くっきりと — 発話・記憶・映像に使うはっきり言う(はっきり いう)
じっと動かずに。凝視して。じっと見る は「見つめる」じっとしていてください
こっそり人目につかないように、ひそかにこっそり出る(こっそり でる)
そっと静かに、やさしく — 慎重な動作ひとつそっとドアを閉める(そっと ドアを しめる)
うろうろあてもなく歩き回る様子駅の前でうろうろする
のろのろじれったいほど遅く。ゆっくり と違って否定的のろのろ運転(のろのろ うんてん)
ザーザー激しく降り続く雨雨がザーザー降っている(あめが ザーザー ふっている)
しとしと静かに細く降り続く雨 — 梅雨の音しとしと降る(しとしと ふる)
パラパラ雨粒がまばらに落ち始める様子。塩を振るときにも雨がパラパラしてきた
ゴロゴロ雷。重い物が転がる音。猫が喉を鳴らす音。何もせず寝転がる様子雷がゴロゴロ鳴る(かみなりが ゴロゴロ なる)
シーン完全な静けさ — 音がないことを表す「音」教室がシーンとなった

ここでは二つの対に目を向ける値打ちがあります。ゆっくり と のろのろ はどちらも「遅い」ですが、ゆっくり は中立から肯定寄りで(ゆっくり休んでください)、のろのろ は苦情です。ちゃんと と きちんと も同じです。他言語ではどちらも同じ一語(英語なら properly)に訳されがちですが、きちんと は秩序と整いを強調し、きちんとした服装 は乱れのない身なりを指します。一方 ちゃんと は「手を抜いていない」ほうを強調します。多くの教科書は両方に同じ一語の訳を当てて、違いは自分で気づけという扱いです。なお シーン は、この語類が実は音だけの話ではないことの証拠です。漫画で静けさを描く約束事から出発して、実際の話し言葉として定着しました。シーンとした部屋 は、しんと静まり返った部屋です。

8. カタカナかひらがなか、そして実際に覚える方法

規則ではなく傾向ですが、知っておくと読みが楽になります。擬音語 — 外で実際に鳴る、輪郭のはっきりした音 — はカタカナに傾きます:ザーザー、ガタガタ、バタン、ワンワン。擬態語 — やわらかな内面の状態や様子 — はひらがなに傾きます:ゆっくり、こっそり、にこにこ、しっとり。ただし書き手はこの傾向を絶えず上書きします。広告は視覚的な強さのために何でもカタカナに寄せるので、食感を述べているのに菓子の袋は サクサク と書きます。逆に文学の散文は、やわらかさのためにひらがなへ寄せます。同じ語を両方の文字で目にすることになるので、どちらの仮名にも慣れていることが前提になります — カタカナのガイド仮名モジュールが、その土台を扱います。語を調べるときは両方の表記を試してください。ザーザー では見つからない資料でも、しとしと なら載っていることがあります。

オノマトペは、ほかのどの語彙よりも頑固にリスト暗記をはねつけます。理由ははっきりしています。訳語がどれも似たり寄ったりだからです。英語で crunchy・crisp・crispy・crunchy (hard)・crunchy (light) と書いたカードを二十枚作れば、設計からして互いに紛れる項目を二十個こしらえたことになります。母語が何であれ事情は変わりません。手当ては四つです。

  1. 裸の語ではなく、共起する形で覚える。 単位は ザーザー ではなく 雨がザーザー降る、カリカリ ではなく ベーコンをカリカリに焼く です。訳語にはできない区別を動詞がしてくれますし、その動詞は語にただで付いてきます。
  2. 語ごとに、具体物ひとつへ結びつける。 サクサク を「crisp」と定義せず、「天ぷらの衣が立てる音」と定義してください。もちもち を「chewy」で済ませず、「餅と、よくできたうどん」としてください。物理的な錨は、似た者どうしの訳語には決してできないやり方で記憶に残ります。
  3. 紛れやすい対は、意図して並べて学ぶ。 サクサク/カリカリ、きらきら/ぎらぎら、ゆっくり/のろのろ、にこにこ/にやにや、ちゃんと/きちんと。ひと月おいて別々に出会い、静かに混ざってしまうのが既定の結末です。違いを言葉にして明示しておけば、それが起こりません。
  4. 実際の入力から採る。 まとめて先に覚え込むより、出会った場で身につけるほうが確実に勝る、ほとんど唯一の語類です。天気コーナー、料理番組、パッケージ、商品レビュー、絵本が密度の高い供給源です。理解できた文のなかで出会った語だけを足し、その文ごと持ち帰ってください。

週に五語から十語、ほかの勉強に載せていく程度が現実的な速度です — プロジェクトではなく、脇の流れとして。週十語なら一年で五百語ほどになり、会話に必要な量はそのはるか手前で足ります。別立てのデッキを作らず、学習ページのふだんの回転に混ぜておけば、ほかの語と自然に交差し、まだ定着していないものはクイズモードが拾い上げてくれます。

9. 避けたい誤りと、学習計画のなかでの位置

日本語能力試験(JLPT)での分布は、想像とは違います。ごく一部は最下層にあります — びっくりする、ゆっくり、ちゃんと はN5の語彙と並ぶ確かな初級項目で、N4でさらに何語か加わります。本体が来るのは N3・N2 のあたり、読解の文章が事実ではなく場面や感情を描き始める地点です。N1 になれば、知っていて当然の扱いになります。日常で使われる中核は、この試験の曲線が示唆するよりも小さいので、効率のよい打ち手は、よく使う百語を早めに拾って会話ですぐ元を取り、残りの長い尾は読みながら積み上げることです。発音の副産物もあります。繰り返し形はリズムの練習にとても向いていて、どこか一拍だけを強く読む癖の代わりに、同じ長さの拍を平らに刻ませてくれるからです。英語話者にありがちな「DOH-kee-DOH-kee」はその場で外国語訛りとわかり、四拍を等しく刻めばすぐに良くなります。その理由は発音ガイドが説明します。

オノマトペはおまけの話題ではありません — 英語が動詞に収めている表現の細部を、日本語はまさにこの層に収めています。共起する形で覚え、文法枠を語と一緒に保存し、紛れやすい対は並べて学び、実際の入力から週に数語ずつ足していってください。そして、ちゃんと・きちんと・ゆっくり が初めから擬態語だったことにも、一度目を留めてみてください。学習を始めた最初の月から、この語類はもう使われていたのです。